はるか昔 学生時代にイタリアの繊維街で布地工房を営む知人を訪ねたのですが 、その日 いつもはイライラするくらいのんびりしている彼が何やらとても慌ただしく動き回っておりました。
一体何事かと尋ねると「この街にマエストロが来ているんだ!」と興奮気味に叫ぶ彼。
能天気に「マエストロって誰よ?」と聞く私に「ア●マーニさんだよ!」と叫ぶと同時に
知人は布地を抱え工房を飛び出していきました。
マエストロが街に来ると 街はちょっとしたお祭り騒ぎになり布地工房関係者は彼に近づくチャンスを得ようと
彼の動向をあらゆる情報網を駆使して探り自慢の逸品を携えて マエストロのいるバールやトラットリアなどに突撃をするそうです。
繊維関係者からのマエストロの評判はいつも絶賛一色で「彼はいつも気さくで 小さな工房でも技術が優れていれば分け隔てなく相手にしてくれる」とのことでした。
そんなアル●ーニの言葉に「エレガンスとは目立つことではなく 記憶されること」というものがあります。
こちらのカットベルベットのお生地で仕立てられたマーメイド・ドレスを映画かドラマで見ましたが、ストーリーはもちろん女優さんの名前すらすっかり忘れてしまっております。
でもその優雅なドレスだけはマエストロのおっしゃるようにしっかりと記憶に残ってます!なるほど そういうことなんですねマエストロ!
そんなお話をスタッフにしましたら「興味をそそられましたが最後はイラッとしました」と言われました。