個人的に新しい布地が入荷するとどんな色と糸が使われているのか 布地を分解してみたくなります。
自分の気持に正直でありたいと常日頃から思っているので 2つ目のクリームどら焼きを食べながら 実際にピンセットなどを用いて分解しています。
一見すると 全体を構成する色味には全く影響が無さそうな色の糸がほんの少し紛れ込んでいたりして「この色必要?」とか「なくても成立しそう」と、勝手に思ったりしていまして 挙句の果てには「この秘密を知っているのはこの世でこれを作った職人さんと私だけにちがいない。うふふ。」と一人謎の満足感に浸ったりしています。
そんな勘違いはともかく 試しにその色だけを省いてみると本当に布地全体が全然違ったテイストになってしまったりします。
その度に職人の皆様の感性と技術、そして布地の奥深さに感心してしまうのですが
これと似たようなお話を昔聞いたことがございます。
音楽市場がレコード(アナログ)からCD(デジタル)に切り替わろうとしていたとき故・坂本龍一氏が「デジタル(CD)は人間に聞こえない部分を音源から切り取ってしまう。これは由々しき事態である」という趣旨のお話をされていました。
当時これを聞いたときは「人間に聞こえない周波数の部分を切り取っているんだから別に良いのでは」と思ってしまったのですが いまこうして布地に置き換えてみると少し理解できる気がいたします。